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2020.08.07

企業からの一方的な発信は生活者とのコミュニケーションにならない

コミュニケーションデザイン室
遠藤 涼介

インターネットが私たちの生活に普及し、電子掲示板に始まったソーシャルメディアですが、代表的な電子掲示板である『2ちゃんねる』が立ち上がったのが1999年でした。20年以上前の話です。

各サービスプロバイダ提供によるブログサービスによって「個人の意見」や「感情の発信」などが盛んに行われるようになったのも同時期だとすると、個人発で意見や考えを述べられるようになってから20年以上が経過していることになります。

個人間のつながりを築くSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の台頭から、個人のメディア化もテキストから画像、動画へとサービス・ツールが充実してきたのもあいまって、推進・強化されてきました。

その結果、SNSの利用ユーザー数も増え続けており、日本でアクティブにSNSで発信されている人は8,200万人いるとされています。

雑談や商品やサービスに対する口コミは、あらゆる媒体を通じてやりとりされていますし、ユーザーの中から「インフルエンサー」と呼ばれる多くのファン(フォロワー)を抱える人たちが生まれてきました。

生活者同士が発信する情報をみてモノを買う

SNSをはじめとしたソーシャルメディアが普及・一般化したことにより、誰もが情報の発信者となることが可能になりました。つまり、個人がメディア化したのです。

生活者は、企業が一方的に「良いことだけ」を掲載するような情報よりも、既に製品やサービスを利用した「体験済みユーザー」が書く口コミや、一定以上のファンを抱えるインフルエンサーが発信する「生の情報」に対して価値があると考えるようになりました。

個人が発信する口コミ情報には、情報を取得した人の実感や実生活に近い情報を得られるため、ユーザーは企業からの一方的な発信を鵜呑みにすることがなくなっていきます。

これは、あらゆる角度から情報を追い求められるようになった結果、個人での発信に価値を見出し始めたのではないだろうかと考えています。

そのようにユーザーが発信・生成する投稿や記事などはUGC(User Generated Contents)と呼ばれ、2020年現在ではユーザーの購入導線における重要な指標となっています。

ここから言えるのは、単にフォロワー数やRT数といった数値的なものだけでなく、購入者と感情的に近い立場にいる個人が発信・投稿する(コンテンツが生み出される)ことまで戦略的・戦術的に考えなければならいない時代になっているのだといえます。

言い換えれば、コミュニケーションのあり方が多様化しているとも捉えられます。

(参照: https://reech.co.jp/blog/2019/07/04/what-is-influencermarketing/

一方通行の情報に生活者は価値を感じない

新聞やテレビ・ラジオといったマスコミュニケーションが主流だった時代のコミュニケーションのあり方は一方通行にならざるを得ませんでした。

先にも書いたインフルエンサーと呼ばれるファンを抱える個人が出てきていることからも構造的な変化が起こっていることが明白です。

そのような構造的に変化していることを前提にすると、企業が一方的に情報を出してユーザーに「受け取ってもらうだけのコミュニケーション」では、ユーザーとの関係が育めずに終わってしまいがちです。

たとえば、認知を獲得してもらったり、商品やサービスの良さを体験してもらいたいと思い、SNSでキャンペーンを実施するケースも頻繁に見られるようになりましたが、キャンペーンなどで商品やサービスだけを目当てにされるだけでは良好な関係になり得ません。

また、いわゆるインフルエンサーを利用し、そのファンの人たちにまで情報を届けようとする施策も、本質的に自社の製品やサービス目線での告知媒体として利用しようものなら、インフルエンサーとファンとの関係を毀損することになりかねませんので注意が必要です。

企業からの発信ではユーザーの顔を見るべきだ

では、企業が自社の製品やサービスをユーザーに対して認知していく際に、発信をする上で何をどうしたらいいのでしょうか。

私たちシーエスレポーターズとしては「生活者の具体的な顔」を思い浮かべるべきだ、と考えています。

それはマーケティングの手法として出てくるようなペルソナを設定するのではなく、個別具体的な名前と顔が一致していて、どこに住んでいるのかも含めて製品・サービス担当者が、何の労力も使わずに想像できる人に対して届けていくべきだと。

規模の大きな事業を展開するのであれば、「そんな小さな単位で考えてビジネスなんかできるか」と言われてしまいかねませんが、そもそも個別具体的な誰かを相手にできないビジネスなど存在するのでしょうか。

きっと、世の中の製品やサービスは社内でマーケティングを行い顧客層を階層別、段階別に切り分けて、そこから製品企画などが立ち上がり、詳細仕様を決めては試作品を制作し、小売店の棚を抑えるための営業を行うなどし、緻密さと精確さを保ちつつ、世の中に出していくわけです。

その過程の中で、その製品やサービスを使う人を誰も個別具体的に想像できないものでしょうか。そんなことはないはずです。

単位としては小さいかもしれませんが、確かに熱量を持って応援してくれる人を思い浮かべ「どんな感想をいってくれるかな」と考えるわけです。その、思い浮かべる人の解像度が高ければ高いほどに、ソーシャルメディアを利用した企画の精度も高くすることができます。

なぜなら、個別具体的に思い浮かべられる顔の人に喜んでもらおうとする方法だからで、ソーシャルメディアは、企業だろうがユーザーだろうが関係なく、人が利用するものです。

人が人のことを思いつつ、繋がることがソーシャルメディアやSNSの魅力であり、強みなのであれば、存分に活用するために、個別具体的な名前を思い浮かべられるのかどうかは非常に重要ではないでしょうか。その人が喜ぶことは何かを考えるところからはじまります。

これまでシーエスレポーターズでは、デジタルのプロモーションを支援する、と謳っていましたが、この4月からは「プロモーション」を「コミュニケーション」へと言葉を再定義し、コミュニケーション戦略を提案する専門家集団としました。

たとえばWebサイトを改修するのであれば、サイトの見た目だけを変えるのではなく、営業マンとして機能することまで考えられるのか。つまり、サイト訪問者に対して自社のサービスや製品を売れるのか。

訪問してくれたお客さんに対し、丁寧に説明できているのか。

過不足のない情報を提供できているのか。

自社サイトまで来てもらうための導線は、ソーシャルメディアを活用するのか、Web広告を活用するのか、それらを複合的に利用した上で集客や販売促進へとつなげていくのか。

お客さんはどんな人たちで、その人たちにはどんな方法や手段でコミュニケーションをとっていくことが望ましいのか。

それらを考える上で、企業からの一方的な発信では相手に届きませんし、相手に届かない・響かないコミュニケーションはコミュニケーションではなく、押し付けと捉えられてもおかしくありません。

個別具体的な名前をあげられるぐらいに大切な存在であるお客さんとの関係を、デジタルを利用することによって広げたり、深くしたり。

そんなことを実現するために、シーエスレポーターズではデジタルでできるコミュニケーションを戦略的に提案させていただきますので、ぜひ、ご相談いただければと思います。

コミュニケーションデザイン室
遠藤 涼介