シャッフル飲み会

第三十四回シャッフル飲み会

4月。春は待たずともやってきました。
桜もまだ暖まりきらぬ新年度の初日に、
僕たちは性懲りもなく酒場へ向かいました。
そう、この日は待ちに待ったシャッフル飲み会。
楽しみな気持ちとは裏腹に、エイプリルフールと重なり
もしかしたら会場は別の場所かもしれない、
更にはシャッフル飲み会そのものが嘘なのかもしれないと
自分自身と戦いながらも、無事に会場のZAKIYAMAに到着すると
先に着席していた荻谷さんが轟音の歯ぎしりとともに睨みをきかせてきました。
開始時刻に間に合わず、30分も遅刻してしまったからでしょう。
足がすくみました。ここまでの恐怖は母に押し入れに閉じ込められて以来でした。
すっかりおびえてしまった僕を見かねた荻谷さんが
「はやく飲もうぜ、遅れた分は取り戻せ」と
闇を一切感じさせない純粋無垢な笑顔を僕たちにもたらしてくれました。
それまで抱え込んでいた不安は一気に晴れ、
涙とよだれでハンカチを濡らしました。

唯一の女性参加者の内藤さんがまだ最後の仕上げで遅れていましたが、
かまう事なくジョッキのぶつかる心地よい音が鳴り響きました。
今は男しかいない、飲め、食え、叫べ。
尊敬する二人のワタナベさんの一声で、闘技場が完成しました。
手羽先を骨まで粉々に噛み砕き、
日本酒を浴びせ合い、
焼き鳥の串で音楽を奏でる。
人間の芸術はここまで進化していたのか。
この数年間この会社で学んだすべてをここで出し切りました。

4人でのクリエイティブが11時をまわったころ、
空からものすごい勢いの何かが接近してきました。
このままだと店ごと吹き飛んでしまう。
4人は顔を見合わせ頷き、店の屋上でその物体を受け止めました。
新幹線よりも早く、大砲よりも重い衝撃が僕たちを襲い、
てのひらの肉がちぎれる寸前でその勢いが衰えました。

「おまたせ」

内藤さんでした。
これがヒロイン。女性ならではの美しく力強い演舞。
シーエスレポーターズは地球を平和にできると確信しました。
全員が揃ったことを祝うべく、二度目の乾杯を響かせ、
これまでの足跡とこれからの道筋に心ふるわせました。

しばらくが過ぎたころに、
荻谷さんの様子がおかしいことに気づきます。
目を閉じたまま、動かない。
冗談だろうと何度も揺さぶるも、ぴくりとも動かない。
みるみると顔は青ざめ、体温はマイナスを下回っていました。
こんなところでお別れなんて。
最初に枯れ果てたと思っていた涙がたちまち溢れ出てきました。
しかしながら、自然と心は暖かく、
ありがとうの気持ちで満ちていました。

楽しかった思い出や、厳しくも優しく僕たちを引っ張ってくれた彼の勇姿を讃え
彼の財布にあったカードをお店に差し出し、この物語は幕を閉じました。

by土田